申告期限に遅れるとどうなるか

「決算申告とは」のページにも記載しましたが、会社法では、法人は、事業年度終了から3ヵ月以内に株主総会を開き、決算報告を行わなければならないことになっています。
また、原則、事業年度終了から2ヶ月以内に決算申告書を作成・提出し、法人税等を納付をしなければならないことになっています。
しかしながら、何らかの事情で決算申告書の作成・提出が申告期限に間に合わず、期限を過ぎてから申告することを「期限後申告」といい、そのまま申告せずにいることを「無申告」と言い、どちらの場合にも、いくつかのペナルティが課されることになっています。

そこで、対策を講じる前に、申告期限を過ぎた場合のペナルティから先に確認しておきましょう。

申告期限を過ぎた場合のペナルティ

(1)加算税

申告期限までに申告書を提出せず、納付期限までに納税しなかった場合、下記のような加算税が課せられます。(下記)

種類内容税額
無申告加算税税務調査が入る前に、自主的に申告した場合納付税額の5%
税務調査で、納付すべき税額があった場合納付税額の15%
(納付額50万円まで)
納付額の20%
(納付額50万円を超えた部分)
重加算税期限内に申告せず、税務調査で、仮装・隠ぺいなどの脱税行為が認められた場合納付額の40%
延滞税法定期限内に税金を納付しなかった場合法定納期限の翌日から日割でかかります。
※特定基準割合により各年の税率が異なります。

このように、無申告の場合、税務調査が入る前の申告の場合の自主的な申告とそうでない場合で、加算税の割合が大きく異なりますし、日割で発生する延滞税も多額になりますので、1日も早い申告をお勧めします。

(2)青色申告の承認が取り消される場合があります

ほとんどの法人の場合、「青色申告承認申請書」を提出し、青色申告を選択することで、税制上の様々な特典を受けていることと思いますが、2期連続で期限後申告となると、「青色申告の承認取り消し」となることがあります。

青色申告の承認が取り消されると

1. 欠損金(赤字)の繰り越し控除が受けられなくなります

青色申告の特典には「欠損金の繰越控除」があります。
この制度を適用すると、その事業年度において発生した欠損金(赤字)を翌事業年度以降9年間にわたって所得金額と相殺することができ、法人税額がかからなくなるというものです。
会社設立後数年は、赤字で利益が出ない会社も多いと思いますので、大変メリットの大きな制度ですが、この制度を適用できなくなってしまい、結果的に税金の支払いが増える可能性があります。

2. 30万円未満の減価償却資産の一括損金算入が認められなくなります

青色申告の場合、30万円未満の減価償却資産を購入した場合、総額300万円まで各事業年度の損金として処理することができる特典があるのですが、これが10万円未満の小額な減価償却資産に限られますので、結果として経費負担が増えることになります。

3. 各種税額控除が受けられなくなります

申告期限を過ぎてしまいますと、様々なペナルティがかかってきます。 申告期限を過ぎてしまった方や、過去の申告をしていない場合は、速やかに申告手続きをすることで、加算税や延滞税を少しでも少なくするようにいたしましょう。